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2026年から個人所得税(PIT)の対象とならない銀行振込とは?

2026年7月1日より、2025年個人所得税法が正式に施行され、課税所得の範囲に関する多くの重要な改正が実施されます。そのため、多くの人が「銀行口座に振り込まれたすべての金額が個人所得税(Personal Income Tax:PIT)の申告・納税対象になるのではないか」と疑問を抱いています。

しかし実際には、税務当局は銀行振込という支払方法そのものではなく、その資金の実質的な性質や発生原因に基づいて課税の有無を判断します。したがって、納税者が資金の出所および取引目的を十分に証明できる場合、多くの銀行振込は個人所得税の課税対象にはなりません。

本記事では、個人所得税が課されない代表的な銀行振込のケースと、税務調査の際に不要なリスクを避けるために知っておくべき重要なポイントについて詳しく解説します。

個人所得税は振込方法ではなく、所得の実質によって判断される

近年、SNSなどでは「個人口座に振り込まれたすべての資金が税務当局によって課税対象になる」という情報が広まっています。

しかし、この理解は正確ではありません。

ベトナム税法では、受け取った金額が個人所得税法で定める課税所得に該当する場合にのみ、納税義務が発生します。

現金で受け取るか銀行振込で受け取るかは、あくまでも支払方法であり、課税の判断基準ではありません。

2026年以降施行される2025年個人所得税法では、以下のような新たな課税所得が追加されます。

  • デジタル資産の譲渡
  • 金地金(ゴールドバー)の譲渡
  • 「.vn」ドメイン名の譲渡
  • カーボンクレジット(Carbon Credit)の譲渡
  • その他の新たな課税所得

しかし、これはすべての銀行振込が課税対象になることを意味するものではありません。

最も重要なのは、それぞれの取引の実質を正しく判断し、必要に応じて証明資料を適切に保管することです。

個人所得税が課税されない代表的な9種類の銀行振込

以下は、法律上の要件を満たす場合に、通常個人所得税の対象とならない代表的な銀行振込です。

1. 家族や友人との貸借金

家族や友人との間で行われる金銭の貸し借りは、民事上の貸借契約であり、事業所得や投資所得ではありません。

そのため、個人所得税の対象にはなりません。

ただし、税務調査に備えて以下の資料を保管しておくことが望まれます。

  • 金銭消費貸借契約書
  • 借用確認書
  • 振込時の摘要欄(「貸付」「一時借入」「一時的支援」など)

これらは資金の目的を証明する重要な資料となります。

2. 銀行ローン完済のための一時的な借入金

実務上、銀行ローンを完済して新たなローンを組むために、一時的に家族や友人から資金を借りるケースがあります。

この資金は個人の資金繰りのために利用されるものであり、新たな所得を生み出すものではありません。

したがって、個人所得税を申告・納付する必要はありません。

ただし、ローン契約書や銀行取引履歴は保管しておくことが推奨されます。

3. 海外に住む家族からの送金(海外送金・送金資金)

海外送金とは、海外で生活または勤務する家族が、合法的な金融機関を通じてベトナムへ送金する資金を指します。

現行制度では、外貨流入を促進する目的から、このような送金は個人所得税の課税対象外となっています。

ただし、以下の資料を保管しておく必要があります。

  • 銀行取引明細
  • 海外送金証明書
  • 資金の出所を証明する書類

4. 他人のために代金を受け取る・支払う場合

これは次のようなケースでよく見られます。

  • 配達員
  • 代金回収代理人
  • 営業担当者
  • 企業から委任されて代金を受領する個人

これらの資金は受取人自身の所得ではなく、本来の受取人へ渡すまで一時的に預かっている資金です。

したがって、個人所得税は課税されません。

ただし、以下のような資料を保管しておくことが重要です。

  • 委任状
  • 支払証憑
  • その他取引内容を証明できる資料

5. 手数料を受け取らずに他人のために送金する場合

家族や友人の代わりに資金を受け取り、その後第三者へ送金するものの、一切手数料を受け取らないケースがあります。

このような行為は、

  • 営業活動ではなく、
  • 所得を生み出さず、
  • 個人所得税の対象にもなりません。

一方、送金サービスを継続的に提供し手数料を受け取る場合、その手数料収入はサービス提供による所得として課税対象となる可能性があります。

6. 納税義務を完了した不動産売却代金

不動産売買では高額な資金が個人口座へ振り込まれるため、改めて個人所得税が課されるのではないかと心配する人も少なくありません。

実際には、不動産譲渡に関する個人所得税は、所有権移転手続きの際にすでに計算・納付されています。

そのため、納税義務を完了し正式に取引が成立した後、買主から売主の銀行口座へ振り込まれる代金については、再度個人所得税が課されることはありません。

以下の資料は必ず保管しておくことをおすすめします。

  • 不動産売買契約書
  • 納税証明書
  • 支払証明書
  • その他関連法的書類

7. すでに課税済みの給与を家族へ送金する場合

給与を受け取り、個人所得税を納付した後、その一部を

  • 配偶者
  • 両親
  • 子ども
  • その他家族

へ送金するケースがあります。

これらは受取人にとって新たな所得ではなく、家族間での資産移転にすぎません。

そのため、受取人は個人所得税を申告・納付する必要はありません。

送金者は以下の資料を保管しておくことが望まれます。

  • 給与明細
  • 銀行取引明細
  • 源泉徴収証明書

8. 海外ですでに納税済みの給与

海外で勤務するベトナム人労働者が給与をベトナムへ送金した場合でも、自動的に再度個人所得税が課されるわけではありません。

所得発生国ですでに納税しており、ベトナム法および租税条約(DTA:二重課税防止協定)の要件を満たしている場合には、通常二重課税は行われません。

以下の資料を保管することが推奨されます。

  • 雇用契約書
  • 海外納税証明書
  • 源泉徴収証明書
  • 銀行送金記録
  • 所得の発生源を証明する資料

9. 小規模な個人間貸付による利息

日常生活では、家族や友人へお金を貸すことは珍しくありません。

以下のような貸付は通常課税対象にはなりません。

  • 無利息の貸付
  • 利息が少額かつ一時的である場合
  • 営利目的で継続的に行われる事業ではない場合

しかし、一時的な個人間貸付と、利益目的で継続的に貸付を行う事業活動とは区別する必要があります。

個人が継続的かつ大規模に貸付を行い、恒常的に利息収入を得ている場合には、税務当局が事業活動と判断し、課税対象とする可能性があります。

したがって、課税の有無は銀行口座への入金そのものではなく、取引の実態と継続性によって判断されます。

資金の出所を証明するために保管すべき書類

非課税となる資金についても、税務当局から説明を求められた場合に備え、関連資料を保管しておくことが重要です。

保管が推奨される資料は以下のとおりです。

  • 金銭消費貸借契約書または借用確認書
  • 不動産・資産譲渡契約書
  • 納税済みであることを証明する書類
  • 銀行取引明細
  • 雇用契約書
  • 給与明細
  • 源泉徴収証明書
  • 海外送金・海外所得に関する証明書
  • 委任状
  • 代金受領・支払代行に関する書類
  • その他取引の実態を証明できる資料

これらの書類を適切に保管することで、税務調査時のリスクを軽減できるだけでなく、個人の資産管理の透明性向上にもつながります。

まとめ

2026年7月1日から施行される2025年個人所得税法では、新たな所得区分が追加され、課税対象が拡大されます。

しかし、銀行口座へ振り込まれるすべての資金が個人所得税の対象となるわけではありません。

重要なのは、それぞれの資金の実質的な性質を正しく判断し、法令に照らして確認するとともに、必要に応じて資金の出所を証明できる資料を十分に保管しておくことです。

高額な取引や内容が複雑な取引については、税務専門家へ相談し、法令を正しく遵守することで、申告や税務調査の際の不要なリスクを回避することが望まれます。

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