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2025年監査シーズンにおける法的責任の強化

2025年の監査シーズンは、単なる財務数値の「点検作業」ではなく、CEO・CFO・経営陣の法的責任を測る重要な指標となっています。財務報告における誤りや虚偽記載は、行政処分、追徴課税、さらには刑事責任にまで発展する可能性があります。企業はどのような準備を整えれば、安全かつ透明性高く監査シーズンを乗り越えることができるのでしょうか。本稿では、新たな規制動向、よく見られる法的リスク、そして効果的な対応策について包括的な視点を提供します。

規制強化と新たなトレンド

2025年は、ベトナムにおける会計・監査分野で大きな転換点となります。規制当局は、財務報告の透明性・正確性・適正性を確保するための管理を従来以上に強化しており、とりわけ上場企業や外国投資企業が重点対象となっています。

特に注目されるのは、経営者個人の責任が大幅に強化されている点です。法定代表者、CEO、CFO、さらには取締役会メンバーまでが、財務報告の誤り、情報隠蔽、または報告手続の不備があった場合、行政責任・民事責任・刑事責任を問われる可能性があります。

これは米国の SOX法、英国の企業統治コードなど、国際的な実務慣行に沿った流れであり、経営陣が財務情報の正確性について直接的かつ法的な責任を負うことを求めています。

会計分野における企業経営陣の法的責任

ベトナム会計法(2015年・2020年改正)、企業法(2020年)、および関連政令(132/2020/ND-CP、155/2020/ND-CP)によれば、法定代表者・CEO・CFO・経営陣には以下の責任が課されています:

  • 行政責任: 財務報告の誤りや不適切な開示に対して企業が罰金を科されるほか、報告書に署名した者(CEO/CFO/法定代表者)も政令41/2018/ND-CPに基づき個人として罰金の対象となる。

  • 民事責任: 不正確な財務情報が株主・投資家・取引先に損害を与えた場合、損害賠償責任を負う可能性がある。

  • 刑事責任: 財務データの虚偽作成、偽造、重要情報の隠蔽など、詐欺性が認められる場合は、刑法2015年(2017年改正)第221条に基づき、5〜7年の禁錮刑となる可能性がある。

近年の事例では、調査対象となるのは経理部門だけではなく、財務諸表の最終的な署名責任を負う CEO・CFOが中心となっています。

監査シーズンにおける企業の主な法的リスク

監査の現場および専門コンサルティングの経験から、企業が直面しやすい法的リスクは以下の5つです:

  • 収益・費用の誤った認識: 会計基準違反により、利益が歪み、税務リスクを生じる。

  • 根拠資料の不足による費用否認: 証憑不備により、損金算入が認められない。

  • 関連者取引・移転価格の問題: 政令132/2020/ND-CPに基づく文書が不足している場合、租税回避の疑いを招く。

  • 財務諸表注記の不透明性: 偶発債務、保証、オフバランス契約の未開示。

  • 内部統制の脆弱性: 業務分掌が適切でない場合、不正・横領・データ操作の温床となる。

これらのリスクは、税務調査での追徴・罰金にとどまらず、故意性が認められれば刑事責任に発展することもあります。

法定代表者・CEO・CFOがリスクを低減するためにすべきこと

強化されつつある法規制に対応するため、経営陣は次の4つの核心対策に注力すべきです。

  • 内部統制システムの強化

    • 証憑作成、帳簿記録、承認の役割を明確に分離。

    • 内部監査の導入、または外部専門家による定期レビューを実施。

    • 最新の会計基準(VAS、IFRS)の継続的なアップデート。

  • 税務および会計規定の厳格な遵守

    • 税務申告における透明な決算資料および説明書類の整備。

    • 費用が通達78/2021/TT-BTCの損金算入要件を満たしているか確認。

    • 政令132/2020/ND-CPに基づく移転価格文書の完全整備。

  • 株主および投資家への透明性強化

    • 正確かつタイムリーな情報開示。

    • リスクおよび経営陣の責任に関する詳細な説明。

    • 内部通報制度(whistleblowing)の構築。

  • 監査プロセスにおける経営陣の積極的関与

    • 法定代表者・CEO・CFOが外部監査人との会議に直接参加。

    • 主要監査論点(収益、費用、関連者取引など)への回答シナリオを事前準備。

    • 財務情報の真実性を確認する代表者書類への署名。

    • 監査人に対し、完全な独立性・客観性・専門的懐疑心の発揮を要求。

2025年の監査シーズンは、単なる「形式的な手続き」ではなく、企業経営陣に課される法的試験の場です。十分な準備がなければ、行政処分から刑事責任に至る重大なリスクに直面します。一方、適切な法令遵守、堅固な内部統制、そして透明性の高いガバナンスを実現した企業は、株主・投資家・市場からの信頼を大きく高めることができます。

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ベトナムオーストラリア
Viet Australia Auditing Company は、ベトナム社会主義共和国で 2007 年に認可および設立された独立監査機関です。
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