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ニュース
ベトナムでは、移転価格に関する監視と税源浸食(BEPS)対策が年々厳格化しており、管理サービス費、広告費、ロイヤリティ(商標使用料)といった関連会社間の取引は、税務調査で特に注目されるポイントとなっています。
政令132/2020/ND-CPにより、関連当事者との取引が発生するすべての企業は、独立企業間原則(Arm's Length Principle)に従い、適切な移転価格文書を作成する必要があります。しかし、これらの費用は経済的利益を定量化するのが難しく、税務当局からは**「不合理な支出」または「利益移転の手段」**とみなされることがあります。
以下では、税務当局に特に注視されやすい3種類の取引、そのリスク、および企業が取るべき対応策について解説します。
なぜ税務当局に疑われるのか?
管理サービス費とは、親会社や海外の関連会社から提供される経営支援、戦略策定、人材育成、ITサポート等に対する対価です。
しかし、これらのサービスの効果は測定が難しく、実態のない「形式的取引」と見なされる可能性があります。
税務当局が問題視するケース:
契約書が不明確または存在しない
メールや報告書、研修資料など、サービス提供の証拠がない
売上またはコストに基づく割合での課金で、実質的価値を反映していない
サービス内容が毎年同じで、変化がないのに同額の費用を継続して支払っている
企業側の対策:
サービスの種類・範囲・期間を明示した詳細な契約書を締結する
メール、議事録、分析資料などサービス実施の証拠を保管する
第三者との比較やベンチマークレポートを用いて費用妥当性を示す
Local File において、サービス費用の性質とその合理性を明確に記載する
なぜ調査対象になりやすいのか?
多国籍企業は、グローバルに広告やブランドプロモーション活動を行い、その費用を子会社へ配分するケースが一般的です。しかし、ベトナムの税務当局は次のような疑問を持ちます:
ベトナム法人はこの活動から直接の利益を得ているか?
なぜ他国市場に関わる広告費まで負担しなければならないのか?
配分の基準は妥当か?
このような費用は、ベトナムでの収益創出に直接関係がないと判断され、損金不算入として除外される可能性があります。
企業側の対策:
グローバル広告計画を入手し、ベトナム市場が対象に含まれていることを明記する
売上増加やブランド認知度の向上など、具体的な効果を示す資料を準備する
売上、数量、人口などに基づく明確な費用配分基準を設定し、文書で説明する
実際にベトナム法人が恩恵を受けていることを客観的に証明する
潜在的なリスク:
ブランド、ノウハウ、レシピ、ソフトウェア等の無形資産の使用に対する支払いは、F&B(外食)、小売、アパレル業界などで一般的です。
しかし、無形資産の公正価値を算出することは非常に難しく、税務上「利益移転の手段」として疑われやすい取引です。
税務当局が注目するパターン:
ロイヤリティ料率が売上の5%を超える
技術移転やサポートが伴わない単なるブランド使用契約
類似取引との比較データがない
企業側の対策:
使用権、期間、知的財産の内容を明示した明確な契約を結ぶ
ベトナムまたは近隣国の類似フランチャイズとの比較分析資料を用意する
ブランドを使用しても売上が伸びていない場合、その理由と長期的戦略を明確に説明する
実際の使用状況に応じた合理的な料率を設定する
税務調査や費用に関する質問に対応するために、企業は以下の準備が必要です:
早期に関連取引を特定し、政令132/2020/ND-CPに基づいて適切な文書を作成する
各取引ごとに、契約・証憑・経済的便益分析・比較資料など経済的根拠を準備する
市場価格原則に従い、使用した価格決定方法(CUP法、Cost Plus法、Resale Price法など)を明記する
社内説明用のハンドブックを整備し、税務調査への対応体制を構築する
税務当局にとって、サービス費用、広告費、ロイヤリティといった関連会社との取引は、検証が困難で主観的要素が大きいため、移転価格リスクが非常に高い取引と見なされています。
単に「正しく申告する」だけでは不十分であり、その経済合理性と実際の利益を積極的に証明する必要があります。
明確かつ透明性の高い文書を準備することで、税務調査をスムーズに乗り越えるだけでなく、親会社、投資家、取引先からの信頼向上にもつながります。